ギャンブル依存症は「病的賭博」とも呼ばれており、1970年代にWHOから正式に病気として認められました。ギャンブル依存症のメカニズムはアルコール依存症や薬物依存症と類似する点が多く、疾病分類に「ギャンブル障害」として位置づけされ、依存症として広く知られるようになりました。
他の依存症と同じように、欲求に対する自制心が効かなくなるのがギャンブル依存症です。最初は軽い気持ちで始めたものが、いずれギャンブルをやらなければ心が落ち着かない状態に陥り、コントロールができなくなっていきます。ギャンブルは脳に強い刺激を与えるため、大量のドーパミンが分泌されます。進行性の病気であり、特効薬はありません。そのため、自然治癒は難しいです。
ギャンブル依存症、あるいは依存症が疑われる人は日本国内に500万人いるとされています。本人だけではなく、その家族なども苦しい思いをしていることを考えると、非常に多くの人に影響が及んでいることが分かります。日本におけるギャンブル依存症のほとんどは、パチンコやパチスロによるものです。
ギャンブルに勝つと脳は快感を得ます。そのため、ギャンブルは人間の脳を活性化させる効果があります。現代人は心のどこかに空虚感を持っており、それを埋めるためにゲームやSNSで満足感を得る人が多いですが、ギャンブルもその方法の1つです。しかし、ギャンブルは本当の満足感を得られるものではなく、あくまで空虚感を代理的に埋めるための行為なので、続けていくことで行為の量が増えていき、結果的に依存症に陥ります。
意外にも、ギャンブル依存症になりやすい人は仕事を真面目にこなし、職場や家庭で信頼されているケースが多いです。知らず知らずのうちに抑圧された感情を、ギャンブルによって発散しているようです。また、「依存症になるのは自己責任であり、意志が弱い人間がなるもの」というイメージがあるため、依存症かもしれないと自覚していても周りに相談することができず、症状が悪化していくケースが多いです。
常にギャンブルのことを考え、使うお金の量が増えていきます。「やめよう」と決心しても、ストレスを感じるとそれから逃れるためにギャンブルに手を出してしまいます。また、ギャンブルで使ったお金のことがバレないように、周囲に嘘をつくようになります。資金を調達するために生活費に手を出したり、消費者金融で借金をするようになります。それでも資金が足りない場合には、犯罪行為に手を染めるなどの問題行動を起こしていくことになります。