依存症の治療方法

依存症の治療方法

依存症の治療とは

依存症の治療とは

依存症になった場合、脳の状態を以前の健康な状態に完全に戻すのは難しいとされているため、アルコールや薬物から距離をおいても条件が揃えば再発する可能性があります。アルコール依存症であれば、お酒を断っている間に少量でも飲酒すると、一気に依存時の状態に戻ることがあります。
しかし、社会生活を送れる状態に回復することが全くできないわけではありません。回復するためには依存の対象である物質や行為から距離をおき続け、止め続けることが大切です。依存症の治療においては、いくつかのアプローチが存在します。

医療機関での治療

医療機関での治療

代表的な治療法は、医療機関において入院治療や通院治療を行う方法です。症状に応じて必要なプログラムが組まれます。
まずは「精神療法」です。心理療法とも呼ばれますが、考え方と行動を変えることで状態の回復を目指す認知行動療法や、医師やカウンセラーとの対話によって心理状態の回復を図るカウンセリングが行われます。
次に「薬物療法」です。主にアルコール依存症患者に対して行われます。アルコールの耐性を下げる抗酒剤、飲酒欲を押さえる飲酒欲求軽減薬などを用いりながら、飲酒量を減らしていきます。
10人ほどのグループでそれぞれの経験や考え方を話し合い、振り返りや共感の経験を通じて依存症の回復を目指す「集団療法」も、プログラムの一環として用いられることがあります。

回復支援施設や自助グループ

回復支援施設や自助グループ

回復支援施設は、依存症当事者の回復と自立を目的として運営されています。入所や通所による治療だけではなく、相談機関としての機能も持ち合わせています。グループミーティングやレクリエーションを通して、依存症の回復を図っていきます。
自助グループは、同様の症状に悩む当事者が集まり、参加者がそれまでの経験や悩みについて話し合い、問題解決のヒントを得られる取り組みを行っています。

退院後も注意が必要

退院後も注意が必要

依存症は完治するものではありません。医療機関を退院したらゴールではなく、そこからが本当の戦いです。生活習慣に関わる慢性病のため、日頃から意識しなければなりません。治療の後も、自助グループに参加し続ける人は多いです。入院する前に起きたトラブルによって失った周囲の信用を取り戻したり、家族との関係を作り直すなど、様々な課題が残っています。関係修復のプロセスの中で大きなストレスを感じることもあるでしょう。そこで依存症を再発する可能性もあるのです。そのため、依存症治療においては寄り添う仲間の存在が重要です。回復への道筋はそれぞれ異なりますが、孤独な状態になることがなによりも危険なので、自助グループなどへの参加は大きな効果があります。